Customer Success Stories
米国有数の超小型衛星製造企業 SpaceQuest の衛星技術を飛躍させるAltium
「新しいプロジェクトを素早く立ち上げ、今までにない電子ボードを迅速に設計しました。限られたスケジュールの中、旧来のツールやプロセスでは実現不可能でした。Altium Designerは、設計のみならず、設計/ライブラリデータおよび関連ドキュメントの作成・管理・共有においても優れており、我々の市場投入までの時間短縮に貢献してくれました。」
SpaceQuest はAltium Designerを使って、どのように実験段階の自動識別システムをわずか1ヶ月半でフライトハードウェアの開発まで導いたのか
SpaceQuest, Ltd.は、バージニア州フェアファックスに本社を置く衛星技術企業として20年以上にわたり、政府、大学、商業用に高度な衛星技術を開発しています。
スペースクエスト社は、先進的な超小型衛星と宇宙システムの開発と迅速な市場投入で知られる、衛星自動識別システム(AIS)市場のパイオニアとして知られています。同社は、ビゲロー・エアロスペース社への超小型衛星の提供などを通じて、世界初の民間宇宙ステーション「ジェネシスI」「ジェネシスII」のアビオニクスなど、複数の宇宙開発プロジェクトに携わってきました。
AISは、海上衝突回避のための航法通信システムです。国際条約により、世界中のほとんどの大型貨物船と旅客船に、AISトランスポンダーの搭載が義務付けられており、毎年10万隻以上の船舶が、管轄の海事当局により沿岸局を通じて追跡されています。
SpaceQuestはこれまで、複雑なPCBレイアウト設計に対応するため、さまざまなツールに頼り頻繁にプロジェクトを外注していましたが、重要な超小型衛星のプロジェクトが迫っており、もっと使いやすく高品質なツールを必要としていました。そんな中、エンジニアの一人が時間短縮の手段としてAltium Designerの利用を提案。そこからスペースクエストの、PCB設計の未来への挑戦が始まりました。
「Altium Designerは、打ち上げプロジェクトの後期に実験ペイロードを統合し、我々の新サービスのための新しい技術を軌道上で検証することを可能にしてくれた要因の1つです。」
設計の課題をシンプルに可視化、定量的な結果につなげる
スペースクエストは、お客様の衛星に搭載した実験用受信機を使って、宇宙からのAIS信号の収集を実証した最初の企業です。その後数年間、彼らはペイロードデータを分析し、AIS信号処理ソフトウェアを開発しました。
スペースクエスト が初めて Altium Designer を採用したとき、彼らは低軌道からの資産追跡と管理サービスのための超小型衛星の開発を始めたところでした。同時に、沿岸のAIS追跡ネットワークの限界を感じ、宇宙からAIS信号を収集する方法も探っていました。
スペースクエスト社副社長のマーク・カナワティは、「当時、AIS信号を収集するペイロードの予備設計はありましたが、その設計はプロトタイプであり、開発プロセスはまだ進化中でした」と振り返ります。
衛星開発プロジェクトの後期に、真新しいペイロードを組み込むということは、宇宙産業では前代未聞のことでした。同社は、2つの衛星の納品を予定していましたが、プロジェクトの後期に、そのうちの1つに最新のプロトタイプのAIS収集ペイロードを組み込むことを決定しました。そして、この設計が打ち上げに向けて出荷される予定まで、わずか6週間しかありませんでした。
「こんな短い期間で、旧来のツールやプロセスを使い全く新しい電子基板を納品するのは不可能でした」とカナワティ氏は振り返ります。「Altium Designerは、設計だけでなく、設計/ライブラリデータと関連ドキュメントの管理/作成においても、市場投入までの時間短縮に役立ちました」。
カナワティ氏と彼のチームがAltium Designerで経験したTATは、前例のないものでした。Altium Designerのおかげで、同社は実験的なAIS収集ペイロードをコンセプトからフライトハードウェアまで、わずか6週間で開発することができたのです。
スペースクエスト社は、順調にAIS衛星コンステレーションを拡大し、超小型衛星の開発を継続しています。Altium Designerは現在、同社における超小型衛星やその他の宇宙システムの開発プロセス全てに採用されています。
厳しいタイムラインをクリア
Altium Designerの直感的なワークフローにより、同社はすべてのボード回路図を1つの環境に統合し、エレキ・メカ的整合性から配線までの全てをチェックし、わずか1週間余りでフライトプロトタイプボードを製作できました。この時間短縮のおかげで、ボードに電子部品を搭載し、AISデコーダソフトウェアのテスト、最終的な熱および真空チャンバーのテストに集中することができました。期限に間に合わなかった場合、次の打ち上げまで2年も待つことになるのです。同社は無事フライトプロトタイプのAIS収集ボードのテストを完了し、ペイロードの筐体を納期に間に合わせ、衛星は地球低軌道への打ち上げに成功。AIS収集実験ペイロードは完璧な性能を発揮しました。
Altium Designerは、打ち上げプロジェクトの後期に実験ペイロードを統合し、軌道上で、我々の技術を検証することを可能にした要因の1つです」とKanawati氏は振り返ります。AIS飛行実験は、スペースクエスト社とってゲームチェンジャーとして、同社の主要事業となったAISデータサービスのパイオニアとしての地位を確立させたのでした。
Altium Designerの直感的なワークフローにより、スペースクエスト社はすべてのボード回路図を1つの環境に統合。エレキ・メカの整合性、適合性、配線までのチェックを行い、1週間余りでフライトプロトタイプボードを製作することができました。
プロジェクトからプロジェクトへのスムーズな移行
SpaceQuest社は、設計からレイアウト、アセンブリまでの電子基板開発パイプラインにAltium Designerを全面的に採用しています。PCBディレクティブは設計からレイアウト段階まで自動的に維持され、時間を節約し、エラーを排除します。Altium Designerの差動ペアルーティングと統合されたピンスワッピングは、SpaceQuestのエンジニアを飛躍的に強化しました。
Altium Designerの3D PCBビジュアライゼーション機能を活用することで、エンジニアはペイロード筐体の小型化、軽量化のために公差を小さくすることができます。同じ機能により、基板製造に着手する前に、機械的な互換性について高い信頼性を得ることができます。
SpaceQuestのエンジニアは、以前は別のCADツールを使用してPCBアセンブリ図面を作成していましたが、現在はAltium Designerから直接図面を作成しています。同社はまた、製品ドキュメンテーションと在庫管理の効率化にもメリットを感じています。
SpaceQuest社は、さらなる超小型衛星の開発でAIS衛星のコンステレーションを拡大し続けています。Altium Designerは現在、超小型衛星やその他の宇宙システムの開発プロセス全体を通して社内で使用されています
SpaceQuest社は、さらなる超小型衛星の開発により、AIS衛星のコンステレーションを拡大し続けています。Altium Designerは現在、超小型衛星やその他の宇宙システムの開発プロセス全体を通して社内で使用されています。